【読書】楡周平さん「再生巨流」(20210710)

読書 20210710
今日は楡周平さんの「再生巨流」

能力的には優秀だけど周りがついて行けず孤立。管理職としてはダメ出しを受け、実質的には組織から外される主人公。

しかしこの人は決してめげない。社内外からネガティブな反応を受けても自分の信じた道を突き進む。

ストーリーは主人公の属する輸送会社がオフィス用品を扱う通販会社と新しいビジネスを立ち上げ、輸送業を超えた事業を創出すると言うもの。楡さんならではの物流ビジネスの話で、非常に勉強になったし、何より兎に角 面白い‼️


以下、ネタバレ‼️‼️‼️‼️‼️‼️

運輸会社(商業宅配)営業の吉野が営業次長から新規事業開発部長に昇進。しかし部下は2人、厳しいノルマを課せられた実質降格人事。優秀なだけに周りがついてこれず辞めていく、つまり管理職としてはダメ出しされての左遷。

自動販売機はPHSでつながり、商品補充に当たり無駄なく作業できるようになっている。運んだ後で、補充の必要がなければ持ち帰ることなになる。作業の無駄、商品在庫問題。売れ行き状態が把握できる今は出荷管理のみならず、自販機設置場所やマーケティングに活用できる。使用状況がリアルタイムで把握できれば運送効率が増すのはどんな商品?

一方、主人公の父親は認知症。リウマチの母が雨の中、オムツやトイレットペーパーを買い物。ストックが切れかかったと分かった時にオーダーを入れれば翌日届くサービス…。

オフィス用品の配送。ミニマムオーダーはないが、注文額の基準を下回ると、別途配送料が請求される。当日配送も可。なぜ?

コピー用紙、トナーか。
紙は業務用に家庭用へと利用用途が拡大し、質より価格の低下を求め、海外からの調達が激増。そこに通販が拍車をかける。

部下に市場調査とオフィス通販の配送ドライバへのインタビューを指示。

花形野球選手だったが身体を壊し、プロ野球を諦め、金のためにセールスドライバになった男のもとに部下が訪問。配送に特化し固定給でも構わないドライバもいること、オフィス用品の通販に手を出せないか?等を話すが、相手にしない部下…。

部下の主張は、小回りがきく配送会社による決め細かなサービスは地場企業でないとできない、大量に扱うため配送料金が安いことからうちの会社では扱えないと言う。

元野球選手の妻は賢い。零細企業がグループになって量販店に負けないくらいの大量仕入で低価格販売ができないか?
保管場所、配送、商品陳列スペース、商圏区分…課題山積。

左遷部長はPHS機能内蔵のコピーカウンターを試作。当日配送を不要にする機械。なぜ当日配送が必要か?ボールペン等は当日急いで調達する必要はないが、コピー用紙やトナーがないと困るから当日配送が必要になる。しかし、使用状況をリアルタイムに把握し、前もって補充できれば当日配送は必要なくなる。そして物流コストは下がり、価格に反映できる。

倉庫間の転送だけを行い、倉庫から客先への配送は他社の有休トラックを活用する。
例えば、新聞配送(夕刊は?)、パン屋配送(衛生は?)等は朝配送した後は休んでいるはず。これを安く使う。そういうトラックを探す。

オフィス通販 業界4位企業にプレゼン。管理職の3人は皆揃ってネガティブ発言。最後には文具通販1位の会社にこの企画を持っていくと言う。ほぼ恫喝か…。

元野球選手のセールスドライバの実家は町の電気屋さん。量販店に加え、文具通販が家電にも手を広げて厳しい状況。成績が良く社長表彰が決まる。

家電業界5位の会社とコピーカウンターに関する会議。量産開始に至らないことに苛立ちクレームを発す。責任追求。開発に掛かった費用を支払うよう要求され合意。

表彰式で部長とセールスドライバが対面会話。家電店のネットワーク化、有休する家電店のクルマ、老人家庭…。街の電気屋を文具通販の代理店にする。

常務への企画説明。
文具通販のみならず、かつ、一般コンシューマーマーケットへの進出。街の電気屋を活用し、(共同仕入ではなく)販売代理店にすることで、家電配送や設置、メンテナンス、与信管理も任せられる。電気屋にすれば日用雑貨まで扱えるので売上もアップ。高齢者や新生児を持つ家族にとっても便利。朝イチで文具通販の倉庫から配送物を電気屋に届ける。眠っている電気屋のクルマが顧客に届ける。毎日、必要な時間に。

物流センタは文具通販が新たに構築するのではなく、輸送会社自らが作り、それを文具通販に貸し出すと言う新しいビジネスモデルの創出。

結論は否決。。。
社主は、運送屋は運送屋、その道で一番になることしか考えていないので、この企画を常務会に出すことはできない、と言われる。

コピーカウンター、コンサルティング、システム構築、倉庫間転送だけなら承認すると言われ仕方なく合意。更にビジネスが軌道に乗った後は身を引けとの命令。玉砕するも、家電メーカーに対する開発費の支払いには目をつぶるとのこと。

元野球選手を誘う部長。実家の電気屋に話して反応を聞きたいと言う。休日、実家に行き、家族に説明。電気屋仲間に声を掛けて欲しい。

興味を持つ兄。但し、一般顧客に対する戦略がないことを指摘。どう客に認知させる?高齢者の口コミでは行動範囲が狭い。主婦層。あと、高齢者からのオーダー方法。パソコンは使えない。

電気屋仲間の反応は手応え充分と部長に報告。課題は、一般顧客への告知。

部長プレゼンのために、妻と出向く元野球選手。電気屋向けカタログと一般コンシューマー向けカタログの用意が必要。カタログに掲載する商品は売れ筋。用途別に分冊。メーカーから広告宣伝費を貰えばいい。飲食店や駅でもフリーペーパーを配布。webでの価格ランキングサイト立ち上げ。素晴らしい。

2人とも部下になれと言う部長。但し会社はこの活動が承認された暁に。

再び常務と対決。玉砕。辞表を書きかけたが、、、更なる戦いを決意。出掛ける準備をする中、認知症の父親が呼吸困難に陥る。救急車で病院に行き緊急入院。アルツハイマーからの心臓病。

商圏は配送トラック1台単位。使えなかった若手部下も成長している。

社主を訪問。
個人情報。精度の高い消費者の購買情報を持つことでターゲットを絞り込める。それを運輸会社であるうちがやる。消費者の実態は電気屋=販売代理店が把握している。

顧客からのオーダーを扱うのが文具通販ならば顧客情報は文具通販のもの。輸送会社がビジネスに扱うことはできない。鋭い指摘。

文具通販の資本金の1/3を出資し、運輸会社から役員を送り込み、マーケティング子会社を立ち上げる。その金は社主自らが出資する。直談判に成功。涙。

返る道すがら父親が死んだことを知る。

社長呼び出し。説明。
コピーカウンター導入+業界1位のシェアを奪う。既存代理店は既存業務を継続。電気屋はコンシューマー向けで業務に慣れさせる。輸送会社も商品保管、入出庫に慣れる。最後に配送拠点の拡大。了承を得た。
元野球選手とその妻を正式メンバーにすることも合意。妻は社長指示で来春新卒入社。

自席に戻り部下に全貌を説明。ダメ部下が成長。必要なことは部下に夢を見させてやることだった。将来への希望。今までは自分の夢を追い求めていただけだった。

文具通販の窓口者に説明。難癖をつけてくるも、全ての企画を聞き終わった時には上位報告に合意。

文具通販と輸送会社のトップ会談。出資はNG。その代わりに物流×マーケティングのために両社が半分づつ出資する子会社をつくることになった。電気屋はこの子会社の代理店。

元野球選手と電話。価格ランキングサイトは早々に立ち上げる。家電製品を取扱うまでにサイトを利用させる。参入後そのまま使い続けるので、ランキング上位に位置付く文具通販の取扱い商品が勝手に売れる。

プロジェクトメンバー全体会議。質疑応答をこなし、無事スタート。
常務から金のかかるタイミングでは常務会(ハンドリングコミッティ)での承認を得るよう指示。
プログラム開発遅れ。

元野球選手の妻が合流し、出展費用無料のショッピングモール連携の案を聞く。配送料で儲ける作戦。

常務に相談。ショッピングモールを輸送会社が立ち上げる。常務承諾。但し成果は自分のもの…。こいつ、最低…。

サービスが使われないのは、高齢者宅のファックスが受信専用だから。発信の仕方を知らない。

サービスが使われないことをハンドリングコミッティで役員から指摘されたところ、常務が断を下すには時期尚早と発言。ショッピングモールの成果を譲ったことが功を奏した。コピーカウンター導入も同様、常務からの指示で取り付けが進む。

物流センタ新設に向けたハンドリングコミッティ開催。順調に利用者が増加しているが曜日に偏りがあることを報告。土日も受け付けることを提案し承諾。無事物流センタ新設の承諾を得る。低価格ショッピングモールの開設を常務が嬉々として報告。

元野球選手の実家の電気屋も利用者増加で一安心。課長に昇進。妻は野球選手になるより良かったと幸せ。

起工式。社主も参加。輸送業は物を右から左に流して終わりやない。工夫次第で人様に喜んで頂けるサービスを創出できる無限の可能性を秘めたもの。

社主は部長に取締役になれと。

以下、登場人物
吉野公啓…運輸会社 営業次長→事業開発部長
三瀬隆司…運輸会社常務 営業本部長
岡本千恵…事業開発部 アシスタント、自主退社を促すため
立川久…事業開発部 担当、ノルマ未達
吉野時江…妻、くも膜下出血36歳死亡
吉野佳奈子…娘
坂崎課長…第二営業部立川の元上司
蓬萊秀樹…花形野球選手→セールスドライバ
蓬萊藍子…秀樹の妻、結婚時大学生
高田文弘…蓬萊の研修仲間
稲泉…東京地区配送センタ、センタ長
西郷…蓬萊の同僚ドライバ
勝部良二…オフィス通販業界4位、物流部長
鬼沢允史…同、運輸課長
藤崎昌宏…同、マーケティング部長
蓬萊晋介…秀樹の兄
長妻明良…家電業界5位、営業部長
高森…長妻の部下、課長
平島…高校時代のキャッチャー
曾根崎昭三…運輸会社社主
時任忠志…運輸会社社長
笹山…運輸会社、システム部門課長
柳川…運輸会社、営業課長
#楡周平
#再生巨流
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